もう一度
二人並んで医局に戻ると

「黒崎先生、いいところに」

「あら、黒崎君、お久しぶり」

医局長とその隣に立つ背の高い女性が、同時に視線を投げてくる

「芳川」

「立花先生、明日からうちで勤務する芳川先生。黒崎先生がアメリカで研修してた時の知り合いよ」

流れについて行けないでいたしるふに説明してくれたのは、医局長だ

一瞬視線が交わって小さく微笑まれた

「珍しいな、芳川が日本にいるなんて」

そう言って海斗が隣から離れて、椅子を引く

「あら、こないだ連絡しなかったっけ。しばらくそっちでお世話になるかもって」

「そうだったか」

海斗の反応に息をついてから、

「相変わらずね」

その無関心さ

特に驚きもせず、それが通例という様に芳川の声が響く

「お互い様だ」

一方の海斗も一瞥もくれずにそう言い放ち、

「立花、これ」

カルテ、と数冊のカルテを渡してくる

「あ、はい」

少し対応が遅れたのは、自分だけが蚊帳の外にいたから
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