キープアウト!―亮二サイドストーリー―
数日後。樹里の熱は完全に下がった。
そして、樹里はアパートを解約する手続きを始めた。
「樹里、ちゃんと荷造りやれよ! サボるなよ!」
「えー。さっきまでやってたもん。休憩」
「オマエは休憩が多過ぎるんだよ」
ペシッ。
オレは樹里の頭を軽く叩いた。
今日は土曜日。2月中旬。
オレは、荷造りを手伝いにアパートに来ていた。
退去するのは、2月下旬で時間はまだあったけど、面倒くさいことは早く済ませたかった。
そして、たった今、休憩ばかりする樹里を叱っていたのだ。
「手伝いにきて正解だったな。樹里のことだから、追い込まれないとやらないと思ってたんだよ」
「亮二、分かってるじゃん」
「分かってるじゃん。じゃねーよ! 最近会う時間減らしてたのは、なんの為だと思ってたんだよ? 荷造りする時間作ってたんだよな?」