初恋のあじ
「いいよ、一緒に帰ろ。」
と、咲夜は言ってくれた。
初めて男子と一緒に帰る。
いつもの帰り道。
それがキラキラして見えて、
ますます私をドキドキさせてった。
「杏子。」
咲夜に名前を呼ばれるのは、初めてだった。
私は、咲夜の横顔を見た。
「杏子は、どんなヤツが好きなの?」
突然だ。
唐突過ぎて、私はビックリして何も言えなかった。
「ドンナヤツガスキナノ?」
そんなの咲夜に決まってる。
でも、
言ってしまえば、終わりになるかも知れない。
「秘密。」
と、私は言葉を濁した。