初恋のあじ
次の日、
お菓子を作って咲夜の部活を見に行った。
その日は、誰も見に来ていなかった。
その代わり、蒼羽が一人で立っていた。
私を見つけると、手招きをした。
「どうしたの?部活は?」
蒼羽は、人差し指を唇にあて、そっと向こうを指差した。
「ねぇ、咲夜。
キスしてよ、キ~ス!」
いかにもギャルっぽい女子が、咲夜の首に手をまわし、目を閉じて咲夜の唇に自分の唇を押し付けようとした。
咲夜は抵抗もせず、女子の耳元に何か囁いたかと思うと、グランドに走っていった。
「ねぇ、杏子。
目をさましなよ。咲夜は、最低なんだから。」
蒼羽は必死に私に訴えた。
だけど、
私はそんな咲夜を見せた、蒼羽が許せなかった。