初恋のあじ
ママが、ソファーに座った。
ママはテレビをつけた。
私は、ぎゅっと隠していた包丁を握りしめた。
「ねぇ、ママ。」
いたって普通にママに呼びかける。
そして握ってた包丁を、ママの太股に刺した。
「キャーッッ!」
か細い叫び声をあげ、患部を抑える。
私は、リビングのテレビの音量を上げた。
そしてママの太股に、もう一度包丁を刺した。
また、叫び声が上がる。
それでも、かまわなかった。
「ねぇ、ママ。
何で、咲夜とヤったの?何で?」
「ごめんなさい、杏子。
本当にごめんなさい。」
聞きたくない。
ごめんなさいなんて、私が惨めになるだけ。