初恋のあじ
ここまで来ると、
無感情になってしまうのね。
この女。
どこまで嘘をつくのかしら?
「その子。いつ産まれるの?」
深々と頭を下げている蒼羽は、いっそう震えだした。
「今月中には……。」
私は蒼羽に近づき、
そっとお腹に手をあてて撫でた。
「赤ちゃん、元気に産まれるといいわね。」
蒼羽の緊張が、
ふととけていく。
「ちょっと待ってて。」
蒼羽が取り出したのは、
大きな風呂敷に包まれたお札の束だった。
「500万あるわ。
今までの謝罪よ、受け取って。」