初恋のあじ
血にまみれた部屋に、
がチャリと玄関の開く音が響いた。
玄関の方から、「ただいまぁ。」と、声がする。
懐かしい声、近づく足音。
「お帰りなさい、咲夜。」
私は、蒼羽と赤ちゃんの死体が転がるリビングで、咲夜を出迎えた。
目を見開き、言葉のないまま、咲夜は蒼羽に近づいた。
血まみれで、苦痛に顔が歪んでいる蒼羽を抱き締めた。
「咲夜………?」
私はもう一度名前を呼んだ。
見たことがない様な、咲夜の鋭い目。
咲夜は、蒼羽を抱き締めたまま呟いた。
「お前なんか、死んでしまえ。」