◆妄想男子◇
「…今日は女の子が一緒じゃないんだな、て思っただけ!」
…少し笑いながら言う晴香。
無自覚…って、ほんとに怖いな。
「別に毎日女連れ込んでるわけじゃねーし。」
俺がそう言うと晴香は、少し拗ねたような顔をして、そっぽを向いた。
「あー…はい、そうですか!何でお兄ちゃんと弟とはそんなに違うんだろうね!」
この野郎…
嫌味をこの俺に言ってんのか?
まぁ、俺のほうが年下なんだけど。
「はぁ?晴香こそ、ちょっとは男と遊んだほうがいいんじゃねーの?」
「う…うっさい!いいのっ!」
「あ、なんなら俺が相手になってやろうか?今なら無料だけどー?」
「なんで朔也なんかと!」
「まぁ、どっかの誰かさんみたいな寸胴は相手にしたくねーけど。」
少しからかう様に言ったのが嫌だったのか、俺が晴香の方を見ると晴香はもの凄い形相で俺を睨んでいた。
…やべ。
晴香を怒らせる=兄貴にも怒られるなんだよな…
その日、結局俺は晴香に蹴られ、兄貴にも怒られて、泣きたくなった。