◆妄想男子◇
「am/is/are なんて最初じゃん!全く…授業聞いてなかったの?」
「当たり前!んな下手な授業より晴香に教えてもらった方が面白いし。」
「はぁー…あたし、別に勉強できるわけじゃないのに…」
冬馬のことだ。どうせ先生の話も聞かずに寝ていたんだろう。
でも、よく許したよね…
冬馬もやっぱり顔がいいから、きっとモテて先生にも気に入られてるんだろうけど。
あたしの言葉を無視して、冬馬は「早くしろよ」って目であたしを見る。
教えてあげてるのあたしなんですけど!?
「…― am/is/are は、be動詞。」
「ん。…じゃ、これは?」
「えーっと、「私はタロウです」を英語にするの?」
「そ。」
「「私は」はわかる?」
「…I am ?」
「そう。じゃ、「タロウです」は?」
「Taro…I am Taro. で良いの?」
「そう!んじゃ…終わり!」
「ありがとな!」
ノートを閉じた冬馬は、そっとあたしのおでこにキスをした。
「家庭教師代って事で♪」
…やっぱり、この3兄弟は似てると思います。