早く気づけ、バカ。
智治とはクラスも一緒。
「絹ー、腹減ったー」
「まだ2時限目だよ」
こんな些細な会話さえも頬を緩ませる。
「なぁ、絹。」
「なにー?」
「俺、彼女できた。」
いま、なんて?
「明日晴れ?」
そんなどうでもいいことのようにさらっと
伝えられたその言葉に
耳を疑う。
「彼女?……」
「うん。言うの忘れて、ごめんな。
本当は一番に伝えたかったんだけど。」
「はっ…?」
「あ、怒った?」
「…誰と付き合ってるの?」
「あー、優華。もう一週間。」
「…そっか。よかったね。」
ガタンっと音を立てて席を立つ。
そのまま足を走らせた。
「え、ちょ…絹!!」
ぐるぐるぐるぐる智治の言葉が頭の中で回る。
ごめんね。
祝ってあげなくちゃなのに。
祝えないよ。
こんな最低の女で
ごめん。