好きなんだ…。
放課後になった。
「兄さん、帰ろっ」
「あぁ。」
秋斗はまだ寝たりないような顔をしながら、返
事をした。
「ねぇ、私も一緒に帰ってもいいかな?」
「いいよ。」
とニコッと冬斗が優しく笑いながら言った。
「やった!」
蕾も満面の笑みで笑った。
「へぇ~、冬斗って頭いいんだね。」
帰り道、三人はトボトボ歩きながら話していた。
「頭は良くても、僕は兄さんとは違って運動神
経は悪いんだ」
「は?冬斗、お前俺にバスケの1vs1で勝って
んだろうが。どこが運動神経悪いんだよ」
秋斗が眉間にシワをよせながら言う。
「それはスリーポイント勝負だったからだよ。
走ったりするのが苦手なんだから」
「…そうだったか?」
秋斗は首をかしげながら考えた。
多分、負けた事しか覚えていないんだろう。
「アハハッ、二人って面白いね」
蕾は二人の会話に爆笑。
「え、てことは秋斗は中学の時とかバスケ部に
入ってたりしたの?」
爆笑したあとに、蕾は秋斗の方を見てそう言っ
た。
「入ってねぇよ。バスケはただの趣味みたいな
もん。本格的にしようとは思ってなかった」
「そぅなんだ。」
蕾は少し残念そうな顔をした。
「兄さんめんどくさがりやだから。
もし、部活とか入っても真面目にはやらないよ
」
冬斗にそう言われ、カチーンときた秋斗。
「俺はなぁ~、冬斗とは違って生徒会長務めた
りするような真面目じゃないんだよ。」
秋斗は冬斗をからかうように言った。
「えっ、生徒会長だったの!?」
と蕾はびっくりした表情になった。
「うん。でも、自分から立候補したんじゃなく
て、勝手に出されて受かっちゃっただけだから
。」
「ても、すごいよ!私なんて立候補しちゃった
らアタフタして、絶対務まらないもん」
「へぇ~、あんたしっかりしてそうなのにな」
秋斗が意外そうな顔で言った。
「そんなことないよ。中学の時は、文化委員に
なって、何していいか分かんなくて、多分足手
まといだったもん…」
と蕾は笑いながら言った。
でも、秋斗の目には蕾がつらそうに見えた。
まっ、気のせいかな。
そう思いながら、蕾を見ていた目をそらした。