好きなんだ…。

《え~、それでは競歩会を始めます。
3・2・1年の順に出発してください。》

校長の挨拶で競歩会が始まった。

ゾロゾロと出発していき、ついに秋斗、冬斗、蕾
の番になった。

「よしっ!行こーう!」

「はりきってるね。蕾ちゃん。」

「くそ~、やっぱ行きたくねぇ~。」

「そんなこと言うと兄さん、プリンあげないし
、一ヶ月プリン食べたら駄目という罰則を…」

「よ~しっ、行くか~!」




出発して二時間くらい時間がたった。

ハァハァハァ…

はりきって出発した蕾はまだ半分の距離も歩い
ていないのに、もう限界がきていた。

「おいおい、まだ半分も歩いてねぇぞ。」

秋斗が呆れたように言う。

「大丈夫?」

秋斗とは違って心配そうに言う。

「ご…ごめん、もう限界…。」

蕾はその場に座りこんでしまった。

「…勘弁してくれよ。」

秋斗がボソッと酷いことを言うなか

「少し休む?」

と冬斗が優しく言った。

「うん…。」

朝、元気よく出発した時と違って、もう元気は
なかった。

「もう行こうぜ。早く帰りてぇしよ。」

「兄さん!!」

疲れている蕾を気づかうことなく、自分勝手な
ことを言う秋斗に冬斗は怒鳴った。

「冬斗、いいよ。もう大丈夫になったから。」

そう言うと蕾は立ち上がったが

「痛っ」

蕾は足を触ってしゃがみこんだ。

「蕾ちゃん、もう一回座って」

そう冬斗に言われ、もう一度その場に座りこん
だ。

「足出して」

「うん」

蕾は冬斗に言われるがままに足を出した。

「やっぱりだ…。靴ヅレしてる。」

蕾は慣れない靴を履いていたせいか、靴ヅレを
していた。

「なんで私が靴ヅレしてるって分かったの?」

「さっきから左足を引きずるように歩いてたか

ら、もしかしてと思ってさ」



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