【コメ祭2】人外・初めてのお使い
あんこを求めて・・・・・・
「ねぇねぇ、あの人」
「素敵だねぇ。どこの旦那だろう」
ひそひそと、女子(おなご)たちが囁き合う。
その視線の先には、じっと店先の野菜を見る一人の男。
すらりとした着流し姿のその青年は、確かに、はっと目を惹くほどの美男子だ。
店の男連中ですら、ぼぅっと彼に見惚れている。
ふと、美麗な彼が顔を上げた。
「娘。あんこはないのか」
丁稚や手代と同じく、ぼけっと彼を見ていた店の娘に声をかける。
魂を奪うほどに美しい青年に真っ直ぐ見られ、娘は心の臓が跳ね上がった。
「・・・・・・えっ・・・・・・な、何?」
ようやく青年が商品について尋ねたのだと気づき、娘は慌てて聞き返した。
「あんこを買ってくるよう、呶々女(どどめ)に言われているのだ」
「・・・・・・あんこ?」
ぽかんと娘は彼を見る。
「呶々女は、ここに来れば、あんこがあると言っていた」
ここは八百屋だ。
葉物や根菜が所狭しと並ぶ店先を見れば、菓子などないとわかろうに。
娘は怪訝な表情で青年を見た。
しかし青年の表情は、真剣そのもの。
ふざけているようにも見えない。
困ったように視線を彷徨わす娘に、ここぞとばかりに客の一人が割って入った。
「ああ、小豆だろ。ふふ、若いモンは、あんこが何からできるのかも、わかんないのかい」
得意げに、青年に小豆を示して言う。
青年は怪訝な顔で、小豆を見た。
そして不意に豆を一つ摘み、口に放り込む。
「素敵だねぇ。どこの旦那だろう」
ひそひそと、女子(おなご)たちが囁き合う。
その視線の先には、じっと店先の野菜を見る一人の男。
すらりとした着流し姿のその青年は、確かに、はっと目を惹くほどの美男子だ。
店の男連中ですら、ぼぅっと彼に見惚れている。
ふと、美麗な彼が顔を上げた。
「娘。あんこはないのか」
丁稚や手代と同じく、ぼけっと彼を見ていた店の娘に声をかける。
魂を奪うほどに美しい青年に真っ直ぐ見られ、娘は心の臓が跳ね上がった。
「・・・・・・えっ・・・・・・な、何?」
ようやく青年が商品について尋ねたのだと気づき、娘は慌てて聞き返した。
「あんこを買ってくるよう、呶々女(どどめ)に言われているのだ」
「・・・・・・あんこ?」
ぽかんと娘は彼を見る。
「呶々女は、ここに来れば、あんこがあると言っていた」
ここは八百屋だ。
葉物や根菜が所狭しと並ぶ店先を見れば、菓子などないとわかろうに。
娘は怪訝な表情で青年を見た。
しかし青年の表情は、真剣そのもの。
ふざけているようにも見えない。
困ったように視線を彷徨わす娘に、ここぞとばかりに客の一人が割って入った。
「ああ、小豆だろ。ふふ、若いモンは、あんこが何からできるのかも、わかんないのかい」
得意げに、青年に小豆を示して言う。
青年は怪訝な顔で、小豆を見た。
そして不意に豆を一つ摘み、口に放り込む。
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