【コメ祭2】人外・初めてのお使い
「・・・・・・全く甘くないではないか。このようなもの、我は好かんが」
「何言ってんだい。これを砂糖で煮込むのさ」
「そういうものか」
納得し、青年は小豆を袋いっぱいに買って、店を後にした。
と、店から離れた途端、見るからに柄の悪そうな若者数人に取り囲まれる。
「何じゃ、貴様ら」
「まぁまぁ、こんな人の多いところじゃなくて、ちょっとあっちに付き合えや」
若者たちは青年を連れて、路地裏に入ろうとした。
「これを早く持って帰らねば、我は好物の上用饅頭を食い損ねるのだが」
「何、兄ちゃんが大人しく有り金出せば、すぐに済むこった。それに、小豆だけじゃ、あんこは出来ねぇぜ」
「何っっ!」
いきなり青年の顔色が変わった。
目にも留まらぬ速さで、若者の胸倉を掴む。
「あんこが出来ぬ? 何故だ、呶々女はそんなこと、言わなかったぞ」
いかにもな破落戸(ごろつき)に路地裏に誘われても、特に反応しなかったのに、あんこが出来ないと聞いた途端、青年は目を剥いて詰め寄る。
意外な青年の反応処に、しばし呆気に取られていた若者たちは、とにかく青年のただならぬ形相に青くなった。
「あ、あんこを作るにゃ、砂糖もいるだろ」
このような答えを、まさかこの状況で青年が欲しているとは思えなかったが、若者はとりあえず、あんこの作り方を口にした。
言っている本人も、このような場でこんなことを言うのは馬鹿馬鹿しかったが、これまた意外に、青年は、ぱ、と手を離した。
「くっ・・・・・・。そういえば、先の店でも、そのようなこと、言っておったな」
そのまさかだったようだ。
こうしてはおれん、と青年は、若者たちなど初めからいなかったかのように、くるりと踵を返すと、茫然とする周りの者らをそのままに、さっさと歩いて行った。
「何言ってんだい。これを砂糖で煮込むのさ」
「そういうものか」
納得し、青年は小豆を袋いっぱいに買って、店を後にした。
と、店から離れた途端、見るからに柄の悪そうな若者数人に取り囲まれる。
「何じゃ、貴様ら」
「まぁまぁ、こんな人の多いところじゃなくて、ちょっとあっちに付き合えや」
若者たちは青年を連れて、路地裏に入ろうとした。
「これを早く持って帰らねば、我は好物の上用饅頭を食い損ねるのだが」
「何、兄ちゃんが大人しく有り金出せば、すぐに済むこった。それに、小豆だけじゃ、あんこは出来ねぇぜ」
「何っっ!」
いきなり青年の顔色が変わった。
目にも留まらぬ速さで、若者の胸倉を掴む。
「あんこが出来ぬ? 何故だ、呶々女はそんなこと、言わなかったぞ」
いかにもな破落戸(ごろつき)に路地裏に誘われても、特に反応しなかったのに、あんこが出来ないと聞いた途端、青年は目を剥いて詰め寄る。
意外な青年の反応処に、しばし呆気に取られていた若者たちは、とにかく青年のただならぬ形相に青くなった。
「あ、あんこを作るにゃ、砂糖もいるだろ」
このような答えを、まさかこの状況で青年が欲しているとは思えなかったが、若者はとりあえず、あんこの作り方を口にした。
言っている本人も、このような場でこんなことを言うのは馬鹿馬鹿しかったが、これまた意外に、青年は、ぱ、と手を離した。
「くっ・・・・・・。そういえば、先の店でも、そのようなこと、言っておったな」
そのまさかだったようだ。
こうしてはおれん、と青年は、若者たちなど初めからいなかったかのように、くるりと踵を返すと、茫然とする周りの者らをそのままに、さっさと歩いて行った。