Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 ジョーンの前には全身が映る鏡が置かれている。

 今はコルセット姿のジョーンしか映っていない。背景として、赤い大きなベッドが映っている程度だ。

 もう少し時間が過ぎれば、青いドレスを着たジョーンが映るだろう。

 部屋にはエレノアとローラ、そしてリジーを合わせて三人いた。ケインとウイリアムの二人は、ドレスを着るまで廊下に出していた。

 ジョーンはリジーがドレスを取り出すのを眺めていた。籠を開けると、鮮やかな青い色が目に入る。白いレースも覗かせていた。

 リジーの手が青いドレスを手に取った。ドレスが箱の中から飛び出してきた。

(指定通りに仕上がっているわ)

 ジョーンはドレスの出来栄えに満足した。

 実際に着てみて、ジョーンはさらに気に入った。胸からウエストにかけて、とても美しいラインを出してくれる。

 胸元も綺麗なUの字にカッティングされ、まわりについている白いレースが可愛かった。
 
 胸の小さいジョーンには、胸元を飾る豪華な白いレースが、ボリュームを出しており大満足だった。

「王妃陛下は、お目が高い」

 リジーが手を擦り合わせながら、笑みを浮かべた。ジョーンの隣に立つと、鏡越しにジョーンの顔を見ていた。
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