Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
 ジョーンはケインと過ごす幸せな日々を想像した。

 ノックが聞こえると、部屋のドアがゆっくりと開いた。青いガウンを着ているジェイムズが入ってきた。共の者を廊下に出したまま、一人でジョーンの部屋に入ってきた。

 ジョーンは本を閉じて立ち上がると、ジェイムズに向かって微笑んだ。ベッドの横で、針仕事をしていたキャサリンも立ち上がると、ジェイムズにお辞儀をした。

「キャサリン、今日はもう下がってよい」

 ジェイムズが大股でベッドに向かってきた。ジョーンは手に持っていた本を棚の上に置いた。

 ジョーンは再びベッドに座るなり、ジェイムズに胸を揉まれた。ガウンの上から強く掴まれて、ジョーンの胸は痛かった。

 酒を飲み、酔っているジェイムズが、荒々しくジョーンの身体を弄った。まだキャサリンが部屋にいるのに、気にする様子もなくジョーンをベッドに押し倒した。

(今夜で最後よ)

 ジョーンは部屋の天井を眺めた。ベッドの天蓋も視界に入っている。

 キャサリンが針仕事の道具を持って、ドアの前で一礼すると廊下に出て行った。

 外は雪が降っており、小さな窓から白い雪が見えていた。
        


















「誰ですか、貴方たち!」

 廊下に出たキャサリンの金切り声がした。

(ロバートたちが、いよいよ来たのね)
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