Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
大広間でファンファーレが鳴ると、執事が声を張り上げた。国王と王妃が部屋に入ると知らせていた。
直後、大きく扉が開け放たれた。ジョーンはジェイムズの腕に手を掛けると、一歩ずつ前に足を出した。
扉から壇上まで一直線に道を作り、両側に貴族たちが集まっている。全員がジェイムズとジョーンを見ていた。ジョーンは微笑を浮かべると、部屋にいる人々を眺めた。
左側を歩いていたジェイムズの首が微かに動いた。
いつもなら前をじっと見つめて、壇上にある椅子まで行くのに。ジョーンは視線を上げると、ジェイムズの横顔を盗み見た。
誰かを探しているように視線が彷徨った。目の動きが止まる。
視線の先を、ジョーンは辿ってみた。最前列に若い女性が立っていた。可愛らしいピンクのドレスを着ていた。華奢な身体を大きな花で包んでいるようなドレスだった。
肌の色は白く、か弱そうに見え、嫁いだ頃のジョーンを思い出させた。レティアの大きな瞳からは、意思の強い輝きを放っていた。
(確か、レティア・クルーズという名前だったわね)
ロイ・クライシス伯爵の婚約者だと、聞いている。
ジョーンはレティアから視線を外すと前にある椅子を見つめた。少しずつ壇上が近づいてきた。
直後、大きく扉が開け放たれた。ジョーンはジェイムズの腕に手を掛けると、一歩ずつ前に足を出した。
扉から壇上まで一直線に道を作り、両側に貴族たちが集まっている。全員がジェイムズとジョーンを見ていた。ジョーンは微笑を浮かべると、部屋にいる人々を眺めた。
左側を歩いていたジェイムズの首が微かに動いた。
いつもなら前をじっと見つめて、壇上にある椅子まで行くのに。ジョーンは視線を上げると、ジェイムズの横顔を盗み見た。
誰かを探しているように視線が彷徨った。目の動きが止まる。
視線の先を、ジョーンは辿ってみた。最前列に若い女性が立っていた。可愛らしいピンクのドレスを着ていた。華奢な身体を大きな花で包んでいるようなドレスだった。
肌の色は白く、か弱そうに見え、嫁いだ頃のジョーンを思い出させた。レティアの大きな瞳からは、意思の強い輝きを放っていた。
(確か、レティア・クルーズという名前だったわね)
ロイ・クライシス伯爵の婚約者だと、聞いている。
ジョーンはレティアから視線を外すと前にある椅子を見つめた。少しずつ壇上が近づいてきた。