Mezza Voce Storia d'Aore-愛の物語を囁いて-
「ローラ、焦らなくていいわ。転んだら大変よ」
ジョーンは椅子から立ち上がると、ローラが走ってくる方角に身体を向けた。
ローラはジョーンの前で足を止めると、「話を聞いてきました」と頭を下げた。
「レティア様が妊娠したらしくて、急ぎ、ロイ伯爵と式を挙げたようです。すでに二人には関係があったようで、妊娠がわかるなり、国王陛下自ら、夫婦になるように指示したらしいと」
「ジェイムズからロイとの結婚を薦めたのね」
ジョーンは自然と頬の筋肉が緩み、笑みを浮かべていた。
ローラの口から出てきたレティアの妊娠には、驚いた。が、ジェイムズに愛人と認められなかったレティアの不幸が愉快だった。
「国王陛下が指示したというのは噂らしくて、事実かどうかは全然わからないそうです」
ローラが浅い呼吸を繰り返しながら、早口で話していた。ジョーンは椅子に座ると、手に持っていた本で口元を隠した。
ジョーンは椅子から立ち上がると、ローラが走ってくる方角に身体を向けた。
ローラはジョーンの前で足を止めると、「話を聞いてきました」と頭を下げた。
「レティア様が妊娠したらしくて、急ぎ、ロイ伯爵と式を挙げたようです。すでに二人には関係があったようで、妊娠がわかるなり、国王陛下自ら、夫婦になるように指示したらしいと」
「ジェイムズからロイとの結婚を薦めたのね」
ジョーンは自然と頬の筋肉が緩み、笑みを浮かべていた。
ローラの口から出てきたレティアの妊娠には、驚いた。が、ジェイムズに愛人と認められなかったレティアの不幸が愉快だった。
「国王陛下が指示したというのは噂らしくて、事実かどうかは全然わからないそうです」
ローラが浅い呼吸を繰り返しながら、早口で話していた。ジョーンは椅子に座ると、手に持っていた本で口元を隠した。