口吸い【短編集】
8*夜に酔う*《掌、懇願》
それは突然の訪問だった。
ベルが幾度となく鳴って、出迎えてみればそこにいたのは_____デロデロに酔った後輩の広末がいた。
「先輩、いたぁ……」 血走った目が瞼に覆われていき優しくなると、きゅっと抱きついてきた。首の後ろと、背中に腕が回されそれは思いの外強い拘束だった。
この思いがけないことに、もがいて距離を取ろうとしてもそれは強まるばかりで、諦めた。
その代わり先程まで考えることを放棄していたから、それをちゃっちゃと終わらせよう。
本題、なぜ私は今後輩の広末に抱き締められているのだろうか。