口吸い【短編集】
9*トラウマ*《口、愛情》
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肌の体温が上がっていく。
息遣いも何もかもが高みにのぼって。
だけれど、心は目は冷めきったままだ。
必死で男は私を連れていこうとする。
体は一緒に、でも心は?
全てが終わったとき、少し嘲った。
そして、ラストの仕上げ、別れを告げる。
呆然とした彼を、置いてホテルから出ていく。
胸のうちは誰にも明かせないまま夜は更ける。