口吸い【短編集】
「恨んで、私を」
「全部無かったことにしたいの」
弱りきった彼からは簡単に振りほどけた。
目の前の彼は、目の前の彼は。
ただ、地に視線を落としているだけだ。
「バイバイ」
さようなら。さようなら。
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「ねーーー看護婦さん」
「んーーー?」
「私って酷い女だと思う?」
「わかんない。でも、あなたが強くて、優しいからそんなことになったのかなって。しかも不器用すぎるけど」
「ハハハ。私ほんとは彼との赤ちゃん欲しいくらいに彼が好きだったんだよ、なのにさ………」
_______癌が転移しています。
「ホント、ついてないなぁ………」
貴方が今、他の人と幸せになっているのらそれが私の幸せだけれど、生きている内は泣かせてください。
End