口吸い【短編集】
「………贈られる方によりますが」
回避していた言葉がしょうがなく漏れた。
沈黙はやはりやってきた。どうしよう。
体に突き刺さる空気が、私が悪いと責め立てる。
その時ちょうど珈琲が届いた。
シミズさんは一口だけ飲んだ。
カップを下ろした顔は全体的に垂れていた。
その事に安心する。
「今は一緒に住んでいないけれど、実家の妹や弟たちに贈っていたんだ。」
____玩具は使い古されたものばかりだかりだったから、新しいものを買ってあげたいと思ったらしい。
「今度、一緒に来てくれないか」
私は、それに頷くべきなのかどうかわからなかった。ただ、シミズさんの、その奥に潜む弱さを見てしまったから、頷いてしまったのかもしれない。