口吸い【短編集】
18*ストロベリーパイ《腹、回帰》
なんだかんだ言って、見た目が大事なんだよ。
「ちくしょおおおおお!」
「うるさい」
教室に誰もいないから雄叫びを上げたというのに、聡子は冷たく切り捨てた。
「聡子ォ」 とりあえず助けてくれと顔に描いてすがるが、聡子は迷惑そうに淡々とナイフで切り裂いた。
「もしかしたらあんたが太ってるっていうのは断り文句で、中身が無理ってことじゃない?」
「聡子の鬼いいい!」
痛いよ!考えないようにしてたけど直しようがないじゃないか!
告白が玉砕して慰めてもらおうと思って呼び出したが、相手を間違えた。傷に塩を刷り込むような奴だった。案の定、興味が無いらしく頬杖をつきながら携帯を弄っている。
中原瑞穂、身長160㎝の体重60キロ。
『冗談だろ。俺、痩せてるやつがいいんだよね』
エンドレス反芻モード突入で涙がポロリと出てきた。
ちくしょおおおおお!!
腹立つ。