口吸い【短編集】
仲良かったのは友達だから、というのは嫌でも知っていた。でも、だからって怖じ気付いて、告白しないっていうのも嫌だった。曖昧なグレーゾーンは酷く嫌いだった私は玉砕覚悟、神風特攻隊の如く告白を切り込んだ。
聡子は心底嫌そうにハンカチを差し出したから、鼻水も涙もたっぷりつけて返してやった。
今、心はとても荒んでいる。
「私のポンポコ腹を、僕のストロベリーパイ(ハート)って言ってくれるイケメン本当にいないの?」
「そんなこと言われたらイケメンでもドン引きだわ」
げんなりして、私に諭すように言ってきた。
「今は自分磨きに専念したら?あんたあんなこと言われて悔しくないわけ?私だったらうるせぇこの貧弱ゴボウがって八つ裂きにしてるわ」
「いや、聡子も綺麗になって見返すくらい言ってよ」
復讐になってるじゃないか。
だんだん話が反れてしまった時、ガラッと扉が開く音が聞こえて、二人ともそちらを向いた。