口吸い【短編集】

「でも、ほら、悪いよ……!」

チラチラ横目で見る。ほら。あんな冷たい顔してるじゃん。さっさと断って!

「いいよ」

なんでだよ!!

「話まとまったから帰るわーー!」

颯爽とドアの方面に走りだし、姿はとんでもなく速く消した。


残った福田君をちらりと見る。

「………私らも帰る?」

少しの希望を滲ませて、

「折角だから」

ーーーーーー完全包囲じゃないか…!

最後の希望まで打ち砕かれた。









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