口吸い【短編集】
「まぁ、話したくなかったら別にいいけど」
「そういうことでもないんだけど…」
自然と俯いていく。ほら、なんだってさ、男に相談とか美味しい安い多い店どこにある?ぐらいしかないもの。
彼は息をついて、そういえば、と話題を変えた。
「そういえば、理想とかあんの?」
「………私が理想なんぞ語っていいものなのか」
いやに真剣に呟くと、吹き出された。
「そこで自虐か。いーよ、笑わないし教えてよ。俺は結構ふわふわしたのがいーよ。本当になんも考えてないけど、常識は弁えてるの」
「へぇーーー」
ようは天然か。私の友達にはいないタイプである。
「私はーーーちゃんと中身見てくれる人!私も見た目も痩せれたらいいんだけどなー。今は私のお腹見ても俺のスイートストロベリーパイってくらい言える人がいい」
彼はそうなんだと微笑むと立ち上がって隣まできた。