口吸い【短編集】
20*天然パーマ《手首、欲望》
くるくるくるくる。明るめの茶色の天然パーマを私は指に絡み付ける。彼は「やめて」って酷く気にしているけど私はこれが好きだ。
二人はソファーでレンタルしてきた邦画や洋楽を楽しんでいた。彼が眠そうに瞼を擦りだした頃、自然に彼は私の肩に滑り落ち、最終的には私の太股に頭を乗せるのはいつものことだ。
だから私は容易に彼の弱点を突くことができる。
「俺、眠いから、止めて」
それなら膝枕もやめていただきたい。
足が痺れて立てなくなったら、お姫様抱っこ?
「やーーーだ。やめない」
目の前の映画はもう既に内容なんてわからなくなっている。あ、キスしてる。
「いてっ」
きゅっ、と顔を歪まされたので、指を抜こうとした。
「絡まった…」