口吸い【短編集】
ちらり、と改めて斎藤夕陽を見る。
大学デビューというやつか、本当にちょっとちゃらけたイケイケ大学生である。
そして、こえ声。こんなに低くてかっこよかったっけ?こんな色気のある声だったっけ?
腰くだけのドストライクな声じゃないですか?
「……………だからさ、おい!きいてんの?」
「へ?」
「…………んだよ聞いてねぇのかよ」
顔が真っ赤。真っ赤。………は?なんで?
「なんで、顔赤いの?熱?」
「うるせぇ!!」
ふて腐れたように三角座りをし出した彼に、私はますますハテナマークを浮かべる。
なんでちょっぴり涙目なのさ。
「……………うるせぇよ。なんなの?焦らしたいの?まず男部屋入れるとかお前俺に食われたいの?食ってほしいわけ?告白くらいまともに聞けよぼけ」