あの頃より きっと。
「彼女のこと、ちゃんと考えなよ!ほら、寂しそうじゃん」





彩穂は、自分自身で言った言葉のはずなのに、その言葉が突き刺さった。

『彼女』。


その声に、風磨は眉を寄せて考えると後ろを振り返った。





「風磨くん…」





女子生徒はそう言った。

その繊細な声を聞いたとき、彩穂は胸の奥が激しく痛んだ。

こんなに可愛い子だから、風磨と想いが通じ合えるんだ。

彩穂はそう考えて、歯を食いしばる。
< 172 / 477 >

この作品をシェア

pagetop