あの頃より きっと。
私は大声で言った。

風磨が転校するなんて、少しも知らなかった。

あまりにも唐突過ぎて、うまく反応ができないでいた。





「すぐ戻るけどな!」





風磨は笑顔でそう言った。

まるで、幼い子供をあやすように。





「すぐってどんくらい?」





「3年後」





「すぐじゃないよー!」





私は寂しかった。

しかしその時はただ、『幼馴染の彼がいなくなる寂しさ』であって、『好きな彼がいなくなる寂しさ』ではなかった。





「大丈夫!すぐだから!」





風磨はそう言うけど、3年後ということは次会うのは私が高2のときということ。

それはすごく長い。





「いつでもメールしろよ」





風磨がそう言った。

その横顔は、まだ少し幼くて可愛らしかった。





「わかった」





それが私と風磨の3年後までの最後の会話だった。
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