あの頃より きっと。
彩穂も含めた部員全員が叫び声を上げて、静かだった体育館に大きくこだました。

彩穂の肩に手を回してきた友達は、号泣していて、彩穂もつられて涙が出てきた。

それにしても、いきなり何があったのだろう。

彩穂は疑問を解くため、顧問に話しかけた。





「なんで、いきなり全国に出れることになったんですか?!」





「なんでですかぁ?!」





「夢ですか、これは!夢に見た全国ですよ?!」





部員が顧問の周りを囲って、顧問は少しだけ口の端を上げた。

いつもそうそう笑わない顧問の微笑みは、何故かとても心が温まるものだった。

彩穂は、涙をジャージの袖で拭う。
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