あの頃より きっと。
彩穂が風磨へ送信したメールは、『全国出場決定! 日曜日だから、もしよかったら応援来てね~』というものだった。

麻紀や美優に送信したメールとの違いはないが、麻紀と美優は風磨のアドレスを知らないため、別に送った。

風磨のメールには、『もしよかったら応援来てね~』への返答がなかった。

それは、来られないということなのだろう。

その理由は何なのか。

そう考えたときに、思いつくのはあの子の存在だけだった。

風磨にとってあの子は、自分なんかより大きな存在になった。

彩穂は息を飲み込んで、切ない気持ちを押し殺した。

これから部活動の練習に集中できる。

だから、風磨のことを考えている時間が減るだろう。





そうしているうちに、この苦しみも忘れることができるのだろうか。
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