あの頃より きっと。
彩穂が携帯電を片手に夜道を歩いていると、ある公園から聞き覚えのある声がした。

しかしその声は、とても張り詰めていた。





「裏切り者…麻紀のこと、信じてたのに!!!」





その声に驚いたが、その声の主にももっと驚いた。

信じられなくて目を擦っても、やはりそれは現実だった。

いつも片方で結んである綺麗な髪の毛が、今はほどかれている。

低めの身長も、大きな目も、ピンクの普段着も――





「美優…?!」





彩穂が恐る恐る名前を呼ぶと、ゆっくりと顔を上げた美優がいた。
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