あの頃より きっと。





「あー…あ!今走ってる?見える。俺のこと見える?」





風磨が、大きく手を振った。

そして、彩穂と麻紀と美優が振り返ると、そこにはやはりあの子の姿が見えた。




玲奈だ。




彩穂は必死だった。

まだ行かないで。

もう少しだけ、傍にいさせて。

いつもみたいにふざけあうことだけでいいから、お願い。

そう願っても、口に出すことはできなかった。

玲奈は、彩穂よりもっと風磨に近い存在だった。
< 280 / 477 >

この作品をシェア

pagetop