あの頃より きっと。
そんな、少しだけ特別だった自分よりも、もっと特別な人が風磨にいる。

その回想は、考えれば考えるほど悪い方向に進んでいってしまう。

麻紀と美優がそっと寄り添って、彩穂を支えた。





「遅れちゃって、ごめんね」





玲奈は風磨の前まで来て足を止めると、風磨に目を合わせてふんわりと笑った。

そして、不思議そうに風磨の背後を見た。





「…どうして?」





玲奈とすぐに目が合ったのは、彩穂だった。

玲奈は少し上目遣い気味に、風磨に問いかける。
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