あの頃より きっと。
「…変な奴」
風磨がそう呟くと、不意に玲奈が風磨の手のひらを包んだ。
「風磨くん」
心配そうに見つめられた玲奈の目に、風磨も見つめ返した。
「ん?…あ、どこ行こっか」
自分に微笑みを向けた風磨には安心したが、それでも玲奈の心の中は不安でいっぱいだった。
どうしてあの先輩ばっかり見るの?
どうしてあの先輩のことになると、真剣になるの?
どうして、どうして…?
好きになればなるほど、不安も大きくなっていった。