あの頃より きっと。

彩穂は、こんな時にも風磨を思い出した。

こんなとき、風磨ならどんな風に助けてくれる?





助けて、風磨――。





「すいません、離してください」





彩穂の頭上で声がした。

涙が引く。

嘘のようだ。

願いが届いたのか。

もしかして、来てくれたの?




彩穂は、期待を膨らませて顔を上げた。
< 290 / 477 >

この作品をシェア

pagetop