あの頃より きっと。
「先輩っ……ごめんなさい…私のせいで…っ」
涙が邪魔して片言になった彩穂だったが、雷の耳にはしっかり届いた。
「怖かったろ…大丈夫か?」
雷は、自分のパーカーを着たままの彩穂の頭を撫でた。
その手は完全に冷たくなっていて、先程温もりを感じた体温が嘘のように消えていた。
「有り得ないですよね…っ、こんな時間に一人で、こんなところに来て…」
彩穂を、恐怖からの解放と雷への罪悪感が包み、涙が止まらなかった。
雷は、座り込んだ彩穂の傍にいつもの様に優しく寄り添う。