あの頃より きっと。





雷は小さくため息を吐いて、風磨に目をやった。

しかし風磨は、目線を逸らして窓の外を眺めていた。

頭の中でグルグルと回り続ける思考は、止まることを知らない。

雷は無理矢理思考を止めて、名前のない感情を抑える。




「……わかった」



そう言った雷の言葉に反応した風磨は、広角を上げて微笑んだだけだった。



窓の外では、雪がちらちらと、優しく小さく降っていた。
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