あの頃より きっと。



麻紀が不意に言った言葉は、あまりにもさりげなかった。

しかし、彩穂の耳にはしっかりと届いた。




「風磨?一応言ったんだけど…それに対しての返事がなくて…」




彩穂は笑顔だったが、それは切なさに押しつぶされた表情だった。

麻紀はその表情を何度も見てきた。

ずっと一緒にいる彩穂のことなら、なんでもわかるのだ。

こんなとき、一緒に悲しむより、明るく盛り上げたほうがいい。

麻紀は、彩穂の気持ちを悟って微笑む。




「まだわかんないってことだよ。これたらいいね。それに、もし来れなくても私たちが精一杯応援するからね!」



< 332 / 477 >

この作品をシェア

pagetop