あの頃より きっと。
『風磨』という文字を見るだけでも心が弾んで、自然に口元が緩んでしまう。





『今日の帰り一緒に帰ろう!』





送信完了の画面が出たところで、美優が教室に入ってきた。

今日もふわふわの髪の毛を躍らせて、ピンクとキャラメル色のキーホルダーがついたバックを抱いている。





「はーい、彩穂?はわいゆー?」





ひらがなの英語で、美優が彩穂に話しかける。

実は美優も、そんなに勉強が得意ではなかった。

特に、今まさに美優が口にした英語は苦手だった。

それでも、めげずに英語を使うところが美優らしい。




「髪型がぁ」




私がそう言うと、美優が慌てて鏡を取り出した。

その鏡は本当に可愛らしくて、美優のイメージにぴったり重なる。





「えっ?何?私寝癖ついてる?」





「桜木先輩のことだよ美優!」





麻紀が呆れて美優に言うと、あぁそっか、と言って鏡をしまった。





「でっ?どうだったの、髪型!」
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