あの頃より きっと。
美優が聞くと、彩穂はわざと拗ねた。





「平山先輩と帰るかららしい!風磨さ、良くも悪くも男友達優先だから…だから寂しいって思うことが多いんだよね」





彩穂がいじけた子供のように下を向くと、麻紀が励ますように背中を撫でた。

麻紀は思った。

こんなに風磨のことを好きなのは、彩穂しかいないのではないか、と。

彩穂なら、風磨に似合っている気がする。



美優も彩穂に目線を合わせる。





「でもメールよく来るんでしょ?脈ありなんじゃない?」





でも、と彩穂が言うと、麻紀も彩穂を見た。

なるべく柔らかい表情で、彩穂に問いかける。





「平山先輩もいてもいいならいいよ、って言われたんだよね?」





「うん、言われたには言われたんだけどさぁ…」





その時、ドアの方で聞き慣れた声がした。
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