あの頃より きっと。
第一章
明日
昼食の時間になり、彩穂は伸びをしながら参考書を閉じた。
今日はこのくらい勉強すれば大丈夫だろう。
いや、大丈夫ということにしておこう。
この場合は、その言葉が正しい意味になる。
そして、机に近づいてきた人影を確認した。
「麻紀たん!」
「ちょっと、その呼び方やめて」
葉山麻紀が呆れて言った。
麻紀は、身長が彩穂よりも高い。
つり目がちな目は濃い睫毛で縁どられていて、額の左寄りに分けた前髪がオシャレな髪型は綺麗な栗色だった。
「じゃ、マキアートちゃんは?キャラメル味で!あ、でも髪の毛栗色だもんねっ!じゃマロンちゃんだ!」