あの頃より きっと。
――嬉しい。





「何も言ってないし!」





彩穂はそう言いながら、嬉しそうに笑った。その時だった。





「痛ぁっ」





不意に美優が言った。





「美優?!」





しゃがみ込んでしまった美優に合わせて彩穂もしゃがむと、彩穂の上から風磨の声がした。





「どした?」





雷の声も混ざってきた。





「大丈夫か?」





彩穂と風磨と雷が、美優の周りを囲った。

美優がゆっくり頭を上げて言った。

その上目遣い気味の目に、3人が吸い寄せられる。





「足、くじいちゃった」





「えっ、大丈夫?!」




彩穂が言ったが、美優は首を横に振った。
< 62 / 477 >

この作品をシェア

pagetop