敏腕美人秘書のみゆきさん ■

窓から差し込む朝日で
社長の金色の髪が
キラリと光る。

端正な顔立ちに
すらりとしたスタイルで
男の俺が見ても「いい男」に見える社長。


「ミユキ。この企画書…」

「それは、各店に報告済みよ。
 ついでに企画課に回しといたわ。
 経理にも報告済み。」


深雪さんは相変わらず仕事が早いし的確。

10歩ほど前をめがけて仕事をしているようだ。

俺も見習わなければな。


とりあえず
二人の為にコーヒーでも入れよう。


そう思って、
インスタントコーヒーの瓶に手をのばすが
中のスプーンがカラリと音を立てただけだった。


「斉藤くん。
 コーヒーは上の棚に買っておいておいたわ。
 
 ついでに
 向かいのカフェでサンドイッチテイクアウトしたから
 食べてから仕事をしましょ?」

深雪さんが
茶色い紙に包まれた
サンドイッチを
差し出す。

にっこりと微笑む彼女の
ながい緩やかなウエーブのかかった髪がゆらりと揺れて
思わず見とれてしまう。


「今日は斉藤くん…早く来ると思って、 
 サンドイッチ余分に買っておいたの。」

ふふふと深雪さんがはにかむように笑うものだから
思わずドキンと胸が高鳴って、
顔が紅くなってしまう。

「えっ?どうしてーー」

どうして
俺が早く来るってわかったんだろうーーー?

顔を傾げながら
とりあえず
サンドイッチをありがたく頂戴する。



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