敏腕美人秘書のみゆきさん ■

車を走らせながら、
じりじりと
日が腕にささる。

とりあえず、苛立っている深雪さんに謝る。

深雪さんはあきらめたように
どうせ、今日は逃げる気だったのよ。と
ため息交じりにつぶやいた。




車内のエアコンが
深雪さんに直接当たらないように
さりげなく
こちらに向けてから
強めに設定。


じゃっかん
手も汗ばんできて、

あぁ。柄にもなく緊張してるかも。俺。


そう思って
ふっと笑った。


「何?斉藤君?」

覗き込むように深雪さんが
俺を見て

と軽やかに笑う。


やっぱり
美人だよな。


「いえ。いい天気だな。と思いまして。」


「そうよね!
 私も、朝からいい天気だと、うれしくて。」

深雪さんがにっこりと笑う。


ふと
社長の言葉がよぎる。

『ミユキはお天気女だから。』

あぁ。そういう意味か。

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