敏腕美人秘書のみゆきさん ■
「もうっ。
実ちゃんもナギサには
ホント、あまいわよ。」
「そりゃぁ、一応、『かわいい弟』ですから。」
ミノルは
にっこりと笑う。
私は
この年の離れた兄のような存在である
ミノルを「実ちゃん」って呼ぶんだけどね。
最初はちゃんと、
実お兄ちゃんって呼んでたはず。
でも、
だんだん
実兄ちゃんになって、
実ちゃん。
ってなった。
まぁ、
子供の頃ってそんなもんでしょ?
年頃になって、
実さんとか、
お兄さんとか、
言い方を変えようとしたんだけど、
『そんな小さいことこだわらないよ。』という
実ちゃんの言葉に
そのまま甘えて、今更呼び方を変える気もない。
多分、
実ちゃんだって
そうだと思う。
きっと私は、おばあちゃんになっても、
彼の中では「みーちゃん」だ。