ありえへん!!
「こら、お前もいつまでも笑ってないで仕事しろ」
俺の向かいに座っている奴がゲラゲラ 笑っている。
「す、すみません。…ブハッ」
謝ってる割には笑い続けてるし。
俺が睨むと目を伏せてパソコンに向かってるが…肩が揺れてるし。
はぁ~
「山科」
「あ、はい」
課長に呼ばれて
――
―
「じゃあ行ってきます」
「うん、頼む」
デスクに戻り書類を鞄に入れ
「真瀬」
やりかけの仕事を渡して
「これ、あと頼むわ」
「はい。行ってらっしゃい」
さっきまで笑っていた真瀬は俺についている後輩。
この7月に大阪からこの本社へ移動して きた。
入社二年で本社勤務になるくらいの有望株。
見かけはそんなエリートには見えないが。
人懐っこく素直な性格ですんなりと周りに馴染み、みんなに可愛がられている。
顔も所謂イケメンなんで特に姉さんのお気に入りだ。
が、何故か真瀬は俺になついている。
ま、なつかれれば嫌な気もしないし、またコイツの笑い顔を見てると子どもの頃 に飼っていた犬を思い出すんだよな。
で、気がつけば俺がコイツの教育係となった。