アシタのナミダ
懐かしい匂いがした
郊外の丘陵を切り開いた大学の駐車場にサユキは車を止めた。
「怖い事……」
「ジュリエは手続きが終わったら先に若間さんのところに行ってて。坂木教授に挨拶してくるよ」
そう言い残してサユキは走り出す。
見渡す風景は、懐かしかった。
たった2ヵ月通わなかっただけなのに遥か昔の思い出のように感じている。
私とトキオが過ごした時間はもう記憶の深い底にしまわれてしまったのかもしれない。
歩きながら視界の片隅を通り過ぎる記憶の欠片を無意識に探していた。
若間さんの勧めで、足りない高校の出席を補習授業で取り戻し、この大学に合格できた。
入学した私は誘われるまま演劇サークルに入った。
ほんとうは演劇も大学も行きたいとは思わなかった。
「怖い事……」
「ジュリエは手続きが終わったら先に若間さんのところに行ってて。坂木教授に挨拶してくるよ」
そう言い残してサユキは走り出す。
見渡す風景は、懐かしかった。
たった2ヵ月通わなかっただけなのに遥か昔の思い出のように感じている。
私とトキオが過ごした時間はもう記憶の深い底にしまわれてしまったのかもしれない。
歩きながら視界の片隅を通り過ぎる記憶の欠片を無意識に探していた。
若間さんの勧めで、足りない高校の出席を補習授業で取り戻し、この大学に合格できた。
入学した私は誘われるまま演劇サークルに入った。
ほんとうは演劇も大学も行きたいとは思わなかった。