ホットココアのキミ
「急にこんなこと言って、困らせるのは分かってます。今忙しいのだって分かってます。ただ、覚えておいてください。ゆっくり考えて答えを出してもらえませんか…?」

そういって彼は私を抱きしめていた腕を解いて、正面から私の目を見て返事を促した。

有無を言わせない彼の瞳に私はただうなずくことしかできなかった。

「…じゃぁとりあえず、今日は帰りましょう?急ぎの仕事は終わらせたから、泣きに来たんでしょ?」

私の行動を見透かされていたことに驚いたけど、確かにその通りだった。

「う、うん。」

話がまとまると、帰り支度をして二人で会社を出ることになった。
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